どこのカップルにでもある。誰にでもある。初めての夜。
盗賊と王族という珍しいカップルも例外なく、それは訪れる。
王族の部屋の中。いつのまにか部屋の主人と化した盗賊は、ベッドから王族をいざなう。
「こっちにおいでよ?」
意地の悪い笑いを浮かべて誘う。
「い、嫌だ!」
「なんでさ、こっちにおいでって?」
ベッドの上に横になっている盗賊は、片手でシーツをめくり、もう片方の手でベッドを軽く叩く。
「嫌だといったら嫌だ!」
「だいたいなんなんだ!?そのニヤニヤ笑いは!?」
「えー?雰囲気出ると思ったのになぁ。」
さっきまでの意地の悪い笑い方がまったくない、楽しい遊びを満喫した子どものような笑いに変わっている。
「雰囲気なんぞ出さんでいい!!」
「いったいどこで覚えたんだそんなこと!?」
さっきまでの拒絶が嘘のように自然にベッドに近づき、腰掛けながら問いかける。
「レックスから。」
盗賊は王族には嘘をつかない。
「あの斧馬鹿か!あいつはラケシスにそんなことをしているのか!?」
「明日にでもラケシスに聞かなくては…」
王族は盗賊のことなど忘れて怒りに震えていた。
「おーい。こっちのことは無視ですかー?」
王族のくるくる変わる表情を楽しみながら、しかし、手持ち無沙汰なために、黒く、長く、美しい髪に手をかける。
「ぅわっ!?は、離せ!」
急に髪に触れられて体がびくっとする。そして、盗賊の手から逃がれようとした。
「離さないよー。だってこの髪ってば触るの気持ちいいんだもん。」
逃げようとする王族。盗賊は、逃げる身体を引き寄せて髪を撫で続ける。
「ちょっ、ちょっと待て!!」
「み、耳に触れるな!それは反則だぞ!!」
動転してしまっている王族は意味のわからない「反則」という言葉を使った。
「反則なんてないの。」
言葉尻を捉えて盗賊は行動をエスカレートさせていく。
「ど、どこを…!?」
驚きと恥ずかしさの入り混じった声。
「盗賊の手癖は悪いもんだよ?」
忘れてた?と言わんばかりの言葉。
まだまだ何かをしようと思い、盗賊は王族の身体を抱き寄せる。
「ちょっ、デュっ、…ちょっと待てーーーー!!」
大きな声で王族から「待て」の命令をされて、盗賊は動きを止めた。
止まってから、調子に乗りすぎたことに気付いた。
「怒らせちゃった…?ごめんね…」
そういった盗賊は反省していることがよくわかる表情をしていた。
すっかり落ち込んで勢いをなくしてしまった、目の前にいる最愛の人を、優しい表情で見つめて、ゆっくり唇を重ねた。
盗賊は驚いた顔をする。
そんな様子を見て王族は微笑む。
「怒るわけがないだろう…」
「私は逃げないから…心の準備くらいさせてくれ…」
それは、凛とした真正面からの言葉。そして、態度。
それは王族だからとかではなく、愛する人を前にした…
女性の一番の表情。
そして二人は…
END
by 高屋 様
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↓邑瀬コメント↓
ありがとう高屋さん!! 初夜だ初夜!!よっしゃ〜〜〜〜vvv!!!
攻めデュー最高です。らぶです。ナイスです。
手癖の悪いデュー君、あなたってば一体何処を触ってるの〜〜♪??vv
もうね、うん、攻めデューに翻弄されるアイラさんがべらぼうに好き。
あ、もう一つ・・・アイラさん、ラケシスに聞かなくては・・・って、本当にその手の話を聞く気ですか?
分かってないあなたが好きです(笑)
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